コラム

ドーピングの基本

もしもドーピング検査で陽性結果が出たら

ドーピング検査の結果、もし陽性結果が出てしまったら、アスリートはその結果を鵜呑みにするしかないのでしょうか?それとも弁明の余地はあるのでしょうか?
今回は陽性結果を告知された後、どうなるかについて解説します。

■再分析を依頼できる
ドーピング検査の結果、JADA(日本アンチ・ドーピング機構)から陽性結果を告知された場合、アスリートは再分析を依頼することができます。
もし再分析の結果、ドーピング禁止物質が検出されなかった場合、ドーピング違反ではなかったと判断されますが、再分析の結果、ドーピング禁止物質が検出された場合は、聴聞会が開かれ、処分が決定されます。

■どんな処分が下されるのか?
ドーピング違反の処分は、どんな物質が原因なのか、誰が行ったのかで処分は大きく異なります。例えば、選手から蛋白同化薬が検出された場合には、最大4年間の出場停止処分が科せられますが、医薬品として広く使用されており、意図的なドーピングに使うことが少ないような物質(特定物質)が検出された場合は、2年間の出場停止処分に短縮されることもあります。
また、サプリメント等の食品のパッケージを確認し、禁止物質が混入しないことを把握していたにもかかわらず、サプリメント等の食品が原因で陽性結果が出た場合には、処分が軽くなる可能性は高くなりますが、メダルの没収や記録の抹消は避けられないでしょう。
そして、監督やトレーナー等のサポートスタッフが禁止物質の使用を促した場合は、本人の処分はもちろんのこと、サポートスタッフに対して、最大で永久追放処分が科せられます。

■再分析の結果に納得がいかない場合
聴聞会ではドーピング禁止物質検出の経緯や弁明等を行ったうえで、処分を決定します。
ただし、下された処分に納得がいかない場合には、日本国内でのもめごとであればJSAA(The Japan Sports Arbitration Agency)に、日本国外のもめごとに対しては、CAS(Court of Arbitration for Sport)に再審査を依頼することができます。

<JSAAとは>
JSAA(The Japan Sports Arbitration Agency)とは、日本スポーツ仲裁機構のことで、日本国内で起こったスポーツ選手や競技団体のもめごとを解決している機関です。
もめごとは裁判所でも解決できますが、JSAAだとスポーツ紛争の専門家に解決してもらえるメリットがあります。また、裁判所より時間がかからないのもJSAAのよいところです。
ドーピング規則違反について不服な場合は、規律パネルの決定から21日以内にJSAAに仲裁申立書等を申請します。その他の場合にも申請には期限があり、競技団体の決定を知った日から6ヵ月以内、もしくは、その決定を知らなかった場合は1年以内に申請するよう求められています。

<CASとは>
CAS(Court of Arbitration for Sport)とは、1984年に国際オリンピック委員会によって設立されたスイスのローザンヌに本部に置くスポーツ仲裁裁判所です。
JSAAが国内レベルの紛争を解決するのに対して、CASは国際レベルの紛争も解決します。
国際水準の競技者は、WADA(世界ドーピング防止機関)、IF(国際競技連盟)、IOC(国際オリンピック委員会)等に決定を受けた選手です。例えばオリンピックに出場した選手は国際水準の選手となるため、CASで仲裁裁判をすることになります。
なお、言語は英語もしくはフランス語のみであり、過去CASに再審査を申し込んだサッカー選手は、総額数千万円のコストがかかったとも言われています。