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ドーピング違反事例TOP5とその副作用

平成19年度から平成28年度のうち、国内で報告されたドーピング違反事例を見ると、最も多かったのは蛋白同化薬でした。次いで興奮薬、利尿薬と隠蔽薬、糖質コルチコイドと続きます。
今回は日本アンチ・ドーピング機構のドーピング違反事例(アンチ・ドーピング規律パネル決定)で判明したドーピング物質を対象に、起こりうる可能性の高い副作用についてご紹介します。

出典:アンチ・ドーピング規律パネル決定(平成19年度〜平成28年度検査統計概要より)

1. テストステロン(S1蛋白同化薬)

副作用:男性の女性化、女性の男性化

男性にも女性にも、体内にテストステロンという男性ホルモンが存在します。作用は主に2つあり、「男性化作用」と「蛋白同化作用」です。ドーピングでは筋肉量を増やす蛋白同化作用が利用されます。副作用は様々ありますが、男性は精巣の萎縮、女性は顔や身体の多毛、その他肝障害などが有名です。

2.メチルエフェドリン(S6興奮薬)

副作用:不整脈

興奮薬に分類されるメチルエフェドリンは市販薬の風邪薬に含まれていることがあります。うっかりドーピングにならないように注意が必要です。過度に使用すると血液中のカリウム濃度が低下するため、不整脈や場合によっては心停止を起こすおそれがあります。

3. フロセミド(S5利尿薬、隠蔽薬)

副作用:不整脈

医療の現場では、むくみの改善や血圧を下げるために利尿薬が使われます。しかし、利尿薬もドーピング違反とされています。その主な理由は以下です。

・水分を排泄することで体重を減らすことができる。

・ドーピング物質を体外に出すことで、検出されにくくする。(ドーピングの隠ぺい)

特に柔道、ボクシング、重量挙げなどの体重制限のある競技に使用されることが多くあります。副作用は、急に血液の水分量が減って低血圧になることや、体内のカリウム濃度が変化して心臓の動きを不規則にしてしまうことなどです。

4.プレドニゾロン(S9糖質コルチコイド)

副作用:骨粗しょう症

アトピーによるかゆみや虫刺されによる腫れには、度々、塗り薬が使われます。そのほとんどの主成分には「糖質コルチコイド」に分類される化合物が含まれており、この物質の摂取もドーピング違反となる場合があります。その理由としては血糖値を上昇させるなど、エネルギー代謝に影響するからです。副作用としては、胃酸が多く分泌されることから潰瘍になるほか、骨をつくる細胞を抑制させるため骨粗しょう症になるなどが挙げられます。

5.ツロブテロール(S3ベータ2作用薬)

副作用:動機、息切れ、手の震え

ベータ2作用薬は空気の通り道を広げて呼吸を楽にする効果があるため、主に喘息の治療に使用される薬ですが、交感神経興奮作用があります。副作用は動機、息切れ、手の震えといった症状です。