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ヒゲナミンは元から禁止物質の一つ

「龍角散ののどすっきり飴*」で話題にのぼったドーピング禁止物質「ヒゲナミン」。今回はヒゲナミンについて解説します。

Higenamin(ヒゲナミン)とはTinospora cordifolia(ティノスポラ・コルディフォリア)こと、イボツツラフジ(日本名)というハーブの一種からとれる物質です。その他にも、附子(ブシ)、丁子(チョウジ)、細辛(サイシン)、南天実(ナンテンジツ)、呉茱萸(ゴシュユ)といった生薬にも含まれており、Norcoclaurine(ノルコクラウリン)、Demethylcoclaurine(デメチルコクラウリン)という名称でも呼ばれています。

ヒゲナミンは気管支を拡げる作用や心臓の収縮力を強める作用を持つことから、非選択的ベータ2作用薬に分類されています。医薬品としては喘息や心不全などの治療に用いられますが、呼吸を楽にすることからドーピング禁止物質に指定されているのです。もともと、禁止物質ではあったのですが、2017年からドーピング禁止リストである禁止表国際基準の「S3.ベータ2作用薬」に例示されるようになりました。

ヒゲナミンでのドーピング違反としては2016年3月、サッカー・プレミアリーグのリヴァプールに所属するママドゥ・サコ(フランス)選手による違反が報告されています。同選手はヒゲナミンが禁止物質であることを知らずにヒゲナミン入りの脂肪燃焼剤を使用し、30日間の出場停止処分が科せられました。しかし、2016年のドーピング禁止リストにヒゲナミンが例示されていなかったことを後の聴取会で主張したところ、この主張が通り、2016年7月に復帰を果たすことができています。ドーピング禁止リストはまだまだ曖昧な表現が多いため、今後も同様の違反が起こる可能性が高いでしょう。ドーピング違反をなくすためには、ドーピングに詳しい専門家による禁止リストの活用アドバイス等が必要だと考えられます。

*「龍角散ののどすっきり飴」にはヒゲナミンは含まれていません。