コラム

ドーピングニュース

湯元選手の対戦相手が使用したトゥリナボルとは?

2017年11中旬、日本のレスリング界にとっては嬉しいニュースが舞い込んできました。
北京オリンピックのレスリング男子フリースタイル60kg級で銅メダルを獲得した湯元健一選手が、繰り上げ措置として銀メダルを受賞することになりました。
これは、湯元選手を準決勝で下し、銀メダルを獲得したウクライナのワシル・フェドルイシン(Vasyl Fedoryshyn)選手の検体を再検査した結果、「トゥリナボル(turinabol)」の使用が判明し、銀メダルを剥奪されたことによるものです。

フェドルイシン選手が使用した、トゥリナボルとは?
トゥリナボルは、いわゆるステロイドと呼ばれる、筋肉を増強させる「蛋白同化作用」を持つ物質群の一つで、デヒドロクロロメチルテストステロン(dehydrochlormethyltestosterone)等といった別名も持っています。
トゥリナボルは使用により筋肉を増強させる一方で、肝臓をはじめとする多くの臓器に大きな負担をかけ、多臓器不全といった重症な病気にもつながるため非常に危険な物質です。ステロイドの作用等の詳細については「ステロイドはなぜ禁止されるのか」で解説していますので、参考までにご覧ください。

トゥリナボルは一部の選手の間で流行っていた?
トゥリナボルは、北京オリンピックで銅メダル、ロンドンオリンピックでは金メダルを獲得した、陸上女子走り高跳びのアンナ・チチェロワ(Anna Chicherova)選手をはじめ、北京、ロンドンオリンピックに出場した複数の選手に使用されていたことが判明しています。
憶測の域を超えませんが、「トゥリナボルはドーピング検査に引っかからない物質」等といった根拠のない噂があったのかもしれません。そしてその噂が選手間で出回ってしまい、北京、ロンドンオリンピックの再検査で多数検出されることに繋がったのではないかと考えられます。
これまでも、トゥリナボルによる陽性事例は報告されていましたが、サプリメント由来なのか、別の摂取方法なのかについては判明していません。しかし、前述のようにトゥリナボルはデヒドロクロロメチルテストステロンをはじめとする別名を複数持っているため、サプリメントへの混入の有無が判断しにくく、うっかりドーピングになる可能性が高い物質と言えます。特に海外から製品の購入を検討している場合には、細心の注意を払ってください。

間違った情報に惑わされないこと
残念なことに、YOUTUBEで「ステロイドを使ってみた」といった解説動画が存在したり、ブログ等で「安全なステロイドが存在する」といった情報が出回ったりしていますが、当サイトにて何度も注意喚起しているようにステロイドの安易な使用は非常に危険です。
インターネットや口コミ情報を信用しすぎず、サプリメントや医薬品の選択に困った時は、スポーツファーマシストをはじめとした薬剤師、スポーツドクターといった医師に相談するようにしましょう。