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海外では違反続出!成長ホルモンの危険性

2017年6月上旬、男子重量挙げのマイケル・ナックル選手(アメリカ)の検体から、成長ホルモン(以下、GH)の体内量を増やす物質「イパモレリン(ipamorelin)」が検出され、4年間の資格停止処分が科せられたという報道がありました。また同年5月中旬、陸上男子円盤投げのジェイソン・ヤング選手(アメリカ)の検体からもイパモレリンが検出され、4年間の資格停止処分が科せられています。今回は、世界的にドーピング違反の報道があるGHやGHの体内量を増やす物質が、一体どういった働きをするのか、どういった危険性があるのかについて解説していきます。

■GHはステロイドと似た働きを持つ
GHとは「ペプチドホルモン」というホルモン群の一つで、子供の成長に非常に重要とされるホルモンです。
GHはステロイドホルモン同様「蛋白同化作用」を持っており、骨の蛋白質部分に働きかけることで強く太い骨を作ります。また、筋肉に働きかけることで筋肉量を増やします。その他にも「糖新生促進作用」や「糖利用抑制作用」といった血糖値を上げる働きも持っています。

■GHの体内量を増やす「GH-RH」、「グレリン」とは
GHは体内量が不足しないように、様々なホルモンによって数をコントロールされています。GHの体内量を増やすホルモンとして知られているのが「GH-RH(成長ホルモン放出ホルモン)」と「グレリン」です。
GH-RHは「間脳」という脳の一部から作られるホルモンで、GHが不足した時に主に体内量を増やすよう働きかけます。
GH-RHと同じ働きを持つ物質には、「セルモレリン(sermorelin)」や 「テルモレリン(tesamorelin)」もあります。
グレリンは空腹時に「胃」から作られるホルモンで、食事を摂りたくなるよう脳に働きかける「摂食ホルモン」として有名ですが、GHの体内量を増やす働きを持つことでも知られています。グレリンと同じ働きを持つ物質で有名なのが、マイケル・ナックル選手から検出されたイパモレリンです。

■GH、GHの体内量を増やす物質の危険性
GHは医療の現場においては、生まれつきGHを体内で作る量が足りず、体の成長が遅い人に成長を促す目的等で使用されます。
一方、GHの量が体内に十分ある人がGHを使用すると、血糖値が上がり続けてしまう可能性があります。また長期間過剰に使用すると、手足だけが大きくなる末端肥大症になる可能性も高いとも言われています。GHやGHの体内量を増やす物質は、筋肉量増加という反則性だけではなく、重大な病気に繋がる可能性もあるために、禁止表国際基準2017の「S2. ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質」においてアスリートの使用が禁止されています。

幸い日本では2009年から2017年7月までの期間で、GHやGHの体内量を増やす物質が原因でドーピング違反になったという報道はありませんが、海外では毎年のように報道があります。治療や海外製サプリメントの使用の際には、GHやGHの体内量を増やす物質の混入にも気を付けましょう。