コラム

ドーピングニュース

競泳古賀選手ドーピング違反 原因はサプリメント!?

2018年5月23日、世界選手権の金メダリストでもある競泳の古賀淳也選手がドーピング検査で陽性反応を示し、暫定で資格停止処分になったことは記憶に新しいかと思います。ドーピングの原因はサプリメント摂取と報道されていました。今回は古賀選手のドーピング検査で検出されたことで話題になった「LGD4033」と「SARM S22」について解説していきます。
古賀選手のドーピング違反に関する記事はこちらから。
古賀選手のドーピング違反について(水泳連盟)

「LGD4033」「SARM S22」とは?
LGD4033とSARM S22とはSARM(Selective Androgen Receptor Modulaors、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)の一種で、ステロイドの仲間です。
SARMは、体内で男性ホルモンの受容体に作用し、使用すると蛋白同化作用による筋肉の肥大効果があるとされています。一方、ステロイドと比較すれば危険性は弱いとされていますが、肝臓の損傷、男性の精巣の収縮、心臓発作、脳卒中などの症状を起こす危険性があるとされています。
スポーツにおいては、SARMの蛋白同化作用による筋肉の肥大効果が、パフォーマンスの向上に悪用される可能性があります。このような背景より、SARMは2008年から現在まで、そしてLGD4033は2018年よりWADA禁止リストのセクションS1「蛋白同化薬」のカテゴリーにおいて常に禁止されている物質となっています。
(出典:2018年禁止表国際基準,SARMについて)

SARMによるドーピング違反事例
USADA(アメリカ・アンチ・ドーピング機構)の報告によると、2012年から2014年の間に30件以上のSARMに関するドーピング違反が疑われる分析報告がされており、陽性事例が相次いでいるのが現状です。2014年には、サプリメントへの混入による陽性事例も報告されています。安易なサプリメント摂取も選手にとっては命取りになる時代ですね・・・。
ではここで、古賀選手のドーピング検査で検出された「LGD4033」「SARM S22」の2つの禁止物質に関してそれぞれ過去の陽性事例を紹介していきます。

「LGD4033の陽性事例」
2017年3月、NBAのバスケットボール選手であるジョア・キムノア(Joakim Noah)選手のドーピング検査で禁止物質であるLGD4033が検出されたとういう報道がありました。USADAは過去に、LGD4033を含有する製品がサプリメントとして不法に販売されているという警告を出していることから、原因は不明とされているものの、サプリメント由来の可能性が考えられます。同選手は20試合の出場停止処分が科せられました。
(出典:NBAジョアキムノア選手のドーピング違反事例LGD4033を含んだ製品

「SARM S22の陽性事例」
2017年12月、パワーリフティングの選手であるクエンティン・ウェーバー(Quentin Weber)選手のドーピング検査で禁止物質であるSARM S22が検出されたとCCES(カナダ・スポーツ倫理センター)から発表がありました。検出された原因は明らかになっていないのですが、海外の通販サイトではSARMが含まれているサプリメントが度々販売されているため、ジョア・キムノア選手同様にサプリメント由来の可能性が考えられます。同選手は4年間の資格停止が科せられました。
(出典:クエンティン・ウェーバー選手のドーピング違反事例SARM販売製品)

そして、SARMの仲間であるオスタリン(ostarine)というドーピング禁止物質の陽性事例がアメリカでは相次いで報告されています。オスタリンによる陽性事例の大半はサプリメントが原因です。
詳しくは過去の記事を参照してください。
海外製のサプリメントには危険がいっぱい「オスタリン」とは

国産のサプリメントにドーピング禁止物質は混入するのか?
海外のサプリメントを安易に摂取することは選手にとって危険であると分かっていただけたと思います。
では、国内のサプリメントにもドーピング禁止物質は混入されている可能性はあるのでしょうか?
ここが、選手、サプリメントを提供している企業が気になる点だと思います。

「日本のサプリメントは品質も良く、ドーピング禁止物質も混入しておらず安心です!!」

と自信を持って言えたらいいのですが…
実際は国内のサプリメントであっても禁止物質が混入している可能性はあります。
混入原因は幾つか考えられますが、工場の生産レーンにおけるコンタミネーション(異物混入)は、サプリメントにドーピング禁止物質が混入する原因としては有名です。
特に海外においては2015年4月にはFDA(Food and Drug Administration)よりドーピング禁止物質がサプリメントにコンタミネーションしている可能性があるという警告が出されていました。
現在まで、コンタミネーションによって国内サプリメントにドーピング禁止物質が混入し、陽性事例になったといった報告はありません。しかし、生産工程の中で、国内製品に禁止物質が混入してしまう可能性がある限り、ドーピング防止への対応は必要だと言えます。
(出典:FDAの警告)

サプリメント摂取によるドーピング違反を防ぐには
今回の古賀選手のドーピンング違反事例は、サプリメントの摂取が原因と報道されています。
この事例をきっかけに、選手はサプリメントを摂取することにも今後細心の注意をはらうことになるでしょう。そして今後はますます、選手がサプリメントを選択する一つの基準として第三者認証を得ているサプリメントかどうかが大事になってくる時代ではないかと考えられます。これを機に、サプリメントを選手に提供している企業は、サプリメントの第三者認証を取得する必要性を考えてみてください。
サプリメント由来のドーピング違反が起きた際には、選手から損害賠償を求められる可能性があります。選手はもちろんのこと、サプリメントを販売する企業を守るためにも第三者認証は非常に重要です。