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ドーピングニュース

身近に潜む興奮薬

このところ、ドーピング検査においてドーピング禁止物質の一つである興奮薬の検出が相次いでいます。2016年10月下旬、Jリーグのサンフレッチェ広島に所属する千葉和彦選手から「S.6興奮薬」に該当するメチルヘキサンアミンが検出され、公式戦の出場停止に加え、練習への参加も当面禁止になったという報道がありました。
11月に入ると、サッカーCSKA・モスクワに所属するロマン・エレメンコ氏に、ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ試合後のドーピング検査で陽性反応が出ました。報道によると、千葉選手同様、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止リスト「S.6興奮薬」に該当する興奮薬の代謝物に加えて、コカインも検出されたそうです。
興奮薬は使用することで脳の働きが活発になり、競争心が増します。また、疲労を感じにくくする作用もあります。疲労が感じにくくなることで体力の限界がわからなくなるため、選手の命に危険を及ぼす可能性があることから禁止されています。
今回は興奮薬の中でも特に注意すべき物質について解説したいと思います。

■コカイン

一般的に麻薬として一つとして知られるコカイン。日本国内では麻薬及び向精神薬取締法により流通が規制されているため入手は困難ですが、強い興奮作用を示すことからドーピング禁止物質として「興奮薬」に指定されています。

■メチルヘキサンアミン

摂取することで脈拍や血圧の上昇がみられる化学物質です。メチルヘキサンアミンは、海外で販売されているサプリメントからたびたび検出される物質なので、覚えておくとよいでしょう。またメチルヘキサナミンは、ジェラナミン、ホルサン、ホルタン、ゼラニウム根エキス、2-アミノ4-メチルヘキサン、と多くの呼び名をもつため、知らない間に摂取してしまう「うっかりドーピング」の代表例としても知られています。
メチルヘキサンアミンについて>

■エフェドリン

エフェドリンは「気管支拡張作用」、すなわち肺までの通り道を広げ、呼吸を楽にする作用があります。そのため、喘息の治療薬や風邪薬などの医薬品によく含まれている物質です。大量に使用することで興奮作用と血流増加が現れるため、競技時における使用が禁止されています。

■カフェイン、ニコチン

コーヒーやコーラに含まれるカフェイン、煙草に含まれるニコチン、これらも興奮作用を持つ物質です。これらは、禁止表の中では「監視プログラム」といわれるドーピング予備軍に分類されています。ドーピングで失格になることはないとはいえ過量摂取は身体に負担をかけるため、注意が必要です。

参考文献:
薬剤師のためのアンチ・ドーピングブック 2016年度版

「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所 情報センター)