コラム

ドーピングニュース

お薬手帳が重要!?ドーピング違反から自分を守る方法

選手の皆さんは、ドーピングを防ぐために普段から心がけていることはありますか?皆さんの身近には医薬品、サプリメント、食品、飲料水などドーピング違反になりうる可能性を秘めているものがたくさん存在しています。そのため、常にドーピングを未然に防ぐ方法を考えることが大切です。今回は、選手がドーピングを未然に防ぐ方法をJSAAのドーピング陽性事例で争われていた事例を交えて解説します。

JSAA(Japan Sports Arbitration Agency)とは?

JSAAとは、日本スポーツ仲裁機構(Japan Sports Arbitration Agency)のことで、国内のドーピング問題に限らず国内のスポーツに関する競技者や競技団体のトラブルを公正中立に仲裁をするための第三者機関です。もし、検体からドーピング陽性反応が出たにも関わらず、検査結果に対し、身に覚えがない場合はJSAAへ不服申し立てを行うことができます。身の潔白を証明できれば処分の軽減も可能なので、不服申し立ての制度があることをきちんと頭に入れておきましょう
※国際規模のトラブルはCAS(Court of Arbitration for Sport)の管轄

JSAAで扱ったドーピング事例

数年前、某レスリングの選手のドーピング違反が判明し、2年間の資格停止処分が科せられました。その後、選手がJSAAへ不服申し立てを行ったところ、資格停止処分の期間が軽減し、当初より5ヶ月早く競技に復帰することが可能になりました。選手の皆さんにとって競技期間の重要性に関しては言うまでもないことだと思いますが、競技生活の5ヶ月という期間はとても重要なはずです。
このケースに適用された、資格停止期間の短縮については日本ドーピング防止規定の10.5.2に記載されています。主な争点は以下の2つです。
(出典:日本ドーピング防止規程 10.5.2条)

1)重大な過誤、過失がないと証明できるか?
2)過誤の程度は「重度(20ヵ月〜24ヵ月)」「通常(16ヵ月〜20ヵ月)」「軽度(12ヵ月〜16ヵ月)」のどのレベルに該当するか?

この事例では、この2点について選手側とJADA側で議論した結果、処分が軽減されました。

1)「重大な過誤、過失がない」の証明に関して
・選手は、元選手でドーピング検査の経験がある母親から、医師に処方された薬を手渡された。母親から渡されたことで、その薬にはドーピング禁止物質が入っていないものだと信じてしまった。
・薬を入手した手段から考えると、本来、禁止物質の摂取を避けるために通常取るべき行為を怠ったとしてもやむを得ない例外的状況だと判断された。
・医師が処方した薬を選手が服用したことで、禁止物質が選手の体内に侵入したことが認められた。(体内侵入経路の証明)
以上のことから重大な過誤、過失がないと判断されました。

2)過誤の程度に関して
・禁止物質摂取を避けるために、本人自身が禁止物質を含むものかどうか調べるという通常とるべき行為は期待できない状況だった。
上記は、資格停止期間を一定程度短縮する事例に該当します。しかし、選手は、アンチ・ドーピングに関する知識を身につけておくべき立場でありながら、処方された薬に禁止物質が含むものかどうか確認しておらず、通常の競技者であれば注意を払うべき行為を行っていませんでした。そのため、資格停止期間を大幅に短縮する事例とは言い難いため重度のレベルに該当する処分が科されました。

では、ドーピングを未然に防ぐためには日常からどういう対策を行えば良いのでしょうか?
(出典:http://www.jsaa.jp/award/DP-2017-001.pdf)

選手が日常生活で気をつけること

・薬やサプリメントの摂取をする際は記録をつける(体内侵入経路の証明)
・医師に対して、自分はアスリートであることを意思表示する
・医師および薬剤師に対する薬の処方の確認(ドーピング禁止物質の混入がないか)
・アンチ・ドーピングの知識を身につける
・ドーピング防止教育を受ける

上記はほんの一例にすぎませんが、重大な過誤、過失がないこと、過誤の程度に関わることは日常から選手は注意する必要があります。
特に、体内侵入経路の証明に一番役立つのは日常でのお薬手帳の活用です。お薬手帳とは、自分が使っている薬の名前・量・日数・使用法などを記録できる手帳のことで、薬局でもらうことができます。お薬手帳は薬の記録を残すためだけではなく、個人の体に関する情報をまとめる機能もあります。医療機関で医薬品を処方してもらう際には毎回お薬手帳を提出し、どの医師に処方されたか、自分が服用した薬は何か、いつ服用したかなど記録をしっかり残すようにするとよいでしょう。

選手の皆さんは自分が摂取している医薬品やサプリメントの使用可否の判断等、ドーピングに関して不安な点はまだまだ多いと思います。弊社では選手のみなさんをドーピングから守ることを使命の一つとしています。専門家にドーピングの相談をすることは、ドーピングを未然に防ぐことだけでなく、重大な過誤、過失がないことの証明にもなります。未然に防ぐことはもちろん、万一のためにもぜひ、専門家の活用を考えてみてください。

関連記事:スポーツファーマシストに相談していない選手は危険すぎる!?