コラム

ニュース

サプリメントメーカー必見!“サプリメントのアンチドーピング認証ガイドライン”を徹底解説

平成31年4月3日に日本アンチ・ドーピング機構(以下、JADA)より、スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドラインが公開されました。
スポーツにおけるサプリメント製品情報公開の枠組みに関するガイドライン (JADA)
本内容はどういったものなのか、サプリメントメーカーとしてどのような対応をすればよいのか、わかりやすく解説していきます。

何のためのガイドラインか

これまではJADAによるサプリメント分析認証プログラムがありましたが、明確ではない認証の仕組みやコストの問題など、様々な批判がありました。
また、その「公式」というイメージから、NSF社のCertified for Sport®やLGC社のInformed-Choiceやなどの国際的なドーピング認証なども競技団体として使用を推奨できないという問題も起きていました。
今回のガイドラインの公開により、JADAによるサプリメント分析認証プログラム以外のアンチ・ドーピングの第三者認証プログラムについても信頼がおけるという判断基準が明確になったということになります。

生産施設審査が必要になる

今回のガイドラインについては、生産施設の審査が明記されています。基本として、以下のいずれかの認証を取る必要性があります。

・NSF International
・一般財団法人日本ガス機器検査協会
・一般社団法人日本健康食品規格協会
・公益財団法人日本健康・栄養食品協会

そしてその上で、認証製品ごとでドーピングに対応したGMPを用意し、運用する必要性があります。 GMPの内容については一般的な項目にドーピング禁止物質を含まないか確認するという考えを盛り込む形となっています。

分析項目の範囲

世界アンチ・ドーピング機構(以下、WADA)の公開している「Anti-Doping Testing Figures Report」のうち、ドーピング検査にて頻出する禁止物質について分析を行うことが規定されました。
2017Anti-Doping Testing Figures Reportについて(WADA)
従前は分析項目数≒信頼性といったイメージがありましたが、それよりも頻出する禁止物質のカバー率のほうが重要になります。また、各種法律で規制される覚せい剤や麻薬など、食品中に入ることのない物質については分析項目から除外されます。

分析頻度について

いままで単回のみの分析で、認証を謳うような仕組みもありました。当然、一回限りの分析ではLOT間のぶれなどの問題をカバーできないため、定期的な分析が必要になります。 また、原材料の変更や生産工程の変更あれば再分析が必要になります。

分析機関とISO/IEC17025

分析機関についてはISO/IEC17025相当の体制があることが望ましいとされています。ISO/IEC17025は”試験所認定”と呼ばれ、製品検査や分析・測定などを行う試験所及び計測機器の校正業務を行う校正機関に対する要求事項が定められています。
ISO17025とは(Perry Johnson Laboratory Accreditation, Inc.)」より引用
多くの誤解があるのですが、この規定は分析機関だけを認定するのではなく、分析品目や分析手法について細かく認定するものです。 例示をすれば、英国LGC社はサプリメントの分析機関として全11セクションのうち、蛋白同化ステロイド、ベータ2作用薬、麻薬、ベータ遮断薬、利尿薬および隠蔽薬の5つセクションについてISO/IEC17025の認定を受けています。

ISO/IEC17025のメリット・デメリット

この認定を受けた検査結果は国際的に信頼できる分析精度を持つと考えられます。これが最大のメリットです。しかし、デメリットも存在します。分析の手法だけではなくて対象物と処理フローなどについても固定化されるため、食品などの多様な形態で、前処理も一定ではないものなどについては、分析不能というものも発生します。LGC社の他の6つのセクションが認定されていない理由はそういった点が理由と考えられます。

分析機関として求められていること

JADAのガイドラインから読み取れるメッセージとしては、「信頼できる分析機関にて分析をすること」。これに尽きます。LGC社でもすべてのセクションでISO/IEC17025をカバーできていませんし、この項目は努力義務となっています。結局のところ、このセクションではサプリメントが原因となったドーピング違反事例が起きたときに、きちんとした証拠が出せるか、ということになると考えられます。

認証機関はISO17021が望まれる

同じISOでも、17021についてはマネジメントシステムの評価、認証を行う機関の国際基準です。今回のガイドラインでは、第三者認証を行う機関が公平かつ明確な基準で認証を行っているのかを設定するための項目です。認証基準が不明瞭なドーピング認証制度などもあったようですが、そういったものへの規制としての項目です。ここでは中立な立場で行っているかも重要な視点の一つとなっています。そのため、自社や関連会社を使っての認証システム構築はガイドラインに則らないと考えて差し支えありません。

問題点と今後の課題について

現在ガイドラインが公表されて間もないため、いくつかの認証については当然ながらガイドラインに完全に対応しきれていないものもあります。またガイドラインには曖昧な表現もあるため、解釈の違いも発生する可能性はあります。現時点では様々情報が錯綜しているため、信頼できるところから情報を集める必要があります。
現状のサプリメントメーカーの選択肢としては、以下の4つが基本だと考えられます。

・アトラクのドーピング・ガード
・LGCのInformed-Choice
・BSCGのCertified Drug Free®
・NSFのCertified for Sport®

現状においてはガイドラインが公開されたばかりであり、現時点でガイドラインを完全にクリアしている認証は確認できませんでしたが、この4つのいずれかの認証を得ている製品であれば、「JADAのガイドラインに準じているため、安心して使用できる。」と回答して差し支えないと考えられます。今後対応する認証は増えてくるかと思いますが、また都度解説をしていきます。

追記:2019年5月16日(木)代表・遠藤による、動画の解説を掲載しました。ぜひご覧ください。

関連記事:競技団体、選手必見!“サプリメントのアンチドーピング認証ガイドライン”を徹底解説