コラム

インタビュー

選手インタビューNo.2/池上秀志選手

「全ての可能性を探りもしないで2位に甘んじるのは嫌なんです」

日本ではまだ数少ないプロマラソンランナーである池上秀志選手。高校時代からマラソンに対する思いを強く持っており、世間では「異色ランナー」と形容されています。池上選手のプロになるまでの経緯、マラソンの魅力、プロの環境、そして、アンチ・ドーピングについてお話を伺いました。
 

池上秀志選手のインタビュー風景

1.マラソンは人生全てをかけたギャンブル。記録ではなく、勝つことが魅力。

—マラソンに専念しようと思ったきっかけやマラソンをすることをいつから描いていたのか教えてください

池上選手
マラソンをすることは高校2年生の時から決めていましたね。マラソン一本に絞った理由は、自分は長い距離になればなるほど自分は強いということとお金の面ですね。長距離のトラック種目とマラソンとでは動くお金の額が全然違うというのは理由の一つとしてあります。あとは、瀬古利彦さんと中山竹通さんに憧れていたのはありますね。高校生から瀬古さんのことが書かれている本や、中山さんが書いている本を読んで自分もマラソンをやりたいなとずっと思っていました。

-マラソンに専念してからのマラソンにかける想いを教えてください

池上選手
高校生の頃から想いは変わりませんが、実際マラソンをやってみると0か10かみたいな難しさはあります。お金の面でいうとマラソンは、平均年収を考えることに意味のない種目で、本当に稼げるのか0なのかという競技。そういう競技に身を置く面白さはあります。マラソンは人生全てをかけたギャンブルみたいなところがあるので、そういうところに身を置く楽しさはやっぱりありますよね。

-池上選手にとってマラソンの魅力って何ですか?

池上選手
マラソンはやっぱり勝負ですよ!タイムばかり気にする人もいますが、日本人は何でタイムを気にする人が多いんですかね?(笑)
42.195kmを屋外で走れば気象条件や、ペースメーカー、集団での駆け引きによって1、2分はすぐ変わる。世界記録や日本記録には価値はあると思うが、タイムを狙うことは、私の中ではマラソンの魅力ではありません。マラソンの魅力は勝つことにあります。勝つからファンもつくし、勝つから見てて面白いと思うんですよね。

2.プロの環境は正直酷い、指導者を誰にするかが一番大切

-大学卒業後、実業団でなく、プロを選んだ理由は何ですか?

池上選手
実業団にも声をかけてもらったり、当時はアラタプロジェクトというクラブチームにも所属していたため、チームに残る選択肢もありました。その中で迷いはあったのですが、結局は指導者なので、今のコーチであるHogen氏に出会ってからはプロ選手としてマラソンをしていくことに迷いはなかったですね。プロとか実業団とかそういうくくりで見る人が多いけど、指導者を誰にするかが一番大事です。

-今プロになってから3年目になると思うんですけど、3年間プロランナーとして競技に打ち込んで感じることを率直に教えてください。

池上選手
「意外と苦戦しているな」というのは率直な感想ですね。正直自分が思っていたよりもかなり苦戦しています。ただ、あまり今うまくいってないことに関しては気にしていませんね。一番大切なのは、頭の中で純粋に自分がマラソンで成功している姿をイメージすることなんです。私の場合は「どんなマラソントレーニングが一番いいマラソントレーニングなのか」の答えを23歳の時に答えを出しています。なので、あとは経験さえ積めばうまくいきます。

-一般の人は部活や、実業団の環境はイメージしやすいと思うのですが、実際にプロの競技環境はどういうものなのですか?

池上選手
プロの環境は一人でしなければいけないことが多いので競技をする上で最低な環境に近いんじゃないですか?(笑)
私は河川敷とか田んぼとか誰もいないとこで、一人で練習しています。
プロの環境のデメリットは、一人でやるとちゃんと集中できない、その世界に入り込めないという部分が大きいんですよね。実業団とかだと、10人とかで練習すると、その情報空間が共有されるのです。例えば、今からインターバルしますっていうと指導者も含めてみんなインターバルモードになるんです。練習自体はきついかもしれませんが、情報が共有されることで自動的に集中させられるため、そういう意味では楽なんです。一人でやっていると、走っている時におじいちゃんが話しかけてきたりして、情報空間が全然共有されないので…(笑)
あと、物理的な問題もあります。例えば、給水を渡してくれる人がいないとか。小さいことなんですけどそういう人がいるのはありがたかったりするので、そういう部分はデメリットになりますかね。
ただ、変な話ですけど、私は、本当に誰もいない河川敷とかでもレースに近い集中力を発揮できますし、メンタル面のテクニックが向上しているのであまり気にならないですね。こういうメンタル面は僕のレベルまで到達できる選手はなかなかいないんじゃないかなと思います。

-池上選手はブログもされていると思うのですが、ブログでは読者に何を発信していますか?

池上選手
栄養と心理と故障のマネジメントは主な内容ですね!正直私のブログの読者は私のことをプロマラソンランナーとして見ていないと思います(笑)他人の役に立つような情報を発信することを意識して書いており、質の高い記事を書くようにしていますね。今後は、日本語の記事だけでなく、英語とドイツ語の記事も増やしていこうと思っています。

-ブログに載せている中で読者にオススメの記事があれば教えてください。

池上選手
一番読んで欲しいのは、電子書籍でも発行している「これから結果を出す人のための自信の作り方」です。いろんな思い入れがあるんですけど、この書籍は抽象度を高くして書いているので、いろんな分野で応用できるように書いているんですよね。仕事のパフォーマンスの向上や、学生なら成績の向上、アスリートなら結果を出す能力が高くなるような情報内容になっています。

3.抗酸化作用の食事とサプリメントをとることの重要性。

-結果を出す上で食事に関して意識していることはありますか?

池上選手
まず、精製されていない炭水化物をメインに1日に何回も分けて小分けに摂取しています。また、油の質にはすごく気を遣っています。酸化した油が身体にとって一番悪いんです。体内で酸化ストレスにより、低度で慢性的な炎症を引き起こしてしまうので…
なので、油の質には気を遣いますね。オリーブオイルやココナッツオイルをたまに使います。ナッツ、アボカド、チアシードにも良質な油は含まれているので、そういうものも意識的に摂取をしています。

-サプリメントを摂取することはありますか?

池上選手
サプリメントは、今はベースサウルスとプロタンディムNRF2を摂取しています。食事において抗酸化が大切なんですけど、実は最も強い抗酸化物質って体内に存在しているんですよ。3種の抗酸化酵素である、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼはビタミンCなんか比じゃないぐらい抗酸化効果があるんですよ。なので、これら3種の酵素をいかに活性化させるかが大事になってきます。この抗酸化酵素はミネラルがないと正常に働かないんですよね。ベースサウルスはこの抗酸化酵素が正常に最も働くようにミネラルが含まれています。

4.禁止物質混入によるサプリメント摂取のドーピングは、選手は防ぎようがない。
混入リスクよりも自分がよりよいパフォーマンスをすることの方が優先

-サプリメントを摂取している池上選手ですが、サプリメントに表記されているアンチ・ドーピングの認証マークを知っていますか?

池上選手
アンチ・ドーピングの認証マークがあるのは、知っているんですけど、国内のサプリメントは正直あんまり見てないですね…
私は、サプリメントを購入する時は衝動買いとかではなく、信頼ある人からの説明を受けてから買うので、国内のサプリメントに関してはあまり見ていないというのもあります。しかし、海外サプリメントを購入するときや紹介者なしで自分でサプリメントを買うときは絶対見ますね。最近は製品に禁止物質の混入のリスクがあるので、そういうのは本当に怖いなと思っています。選手も混入によって起きるドーピング事例は防ぎようがないし、サプリメントを全く摂取しないというわけにもいかないので、中々厳しいものがあるなと感じています。

-混入によるドーピングが起きることについてどう思いますか?

池上選手
自分でコントロールできないことなので、もし自分が摂取した製品に禁止物質が混入していたらかなり怒ると思います。でも、それで罪が他人に転嫁されるわけではないので、資格停止期間が軽減されることを目指してやるしかないですよね。ただ相当僕は怒りますよ(笑)
混入のリスクがあっても今摂取しているベースサウルスを摂取する理由としては、自分とスポンサーであるアミノサウルスで共同開発している製品なのでそれ以上信頼がある製品はないと思うので使いますね。もともとの論理としてより健康になるための製品かつ使用して健康になることを実感している製品にドーピング禁止物質が混入していることはおかしいです。リスクは0ではないですが、私にとっては自分がよりよくあることの方が優先なんです。

-個人的にドーピングの対策で実践していることは現在ありますか?

池上選手
基本的にないですね。そもそも不必要なものは摂取しない主義なので。対策はまずしていません。基本的に薬とかも飲まないんですけど、どうしても飲みたい時は自分でも調べますし、コーチにも相談します。見落としていたりすると良くないので。ドーピング禁止表に書いているものってはっきりした記述じゃないじゃないですか?こういう作用のあるものはドーピングになりますみたいな。そういう記述なので、相当知識がないと対策するのは難しいと思います。

-ドーピングがなくなる、クリーンな国にするにはどうすればいいと思いますか?池上選手の考えを教えてください。

池上選手
それは本当に難しい質問ですよね。本当にクリーンにしたければ全てのスポーツをアマチュアにするというのが一番だと思うんですけど、そういうわけにもいかないので…
選手が本当に理解しないといけないのはドーピングをすると自分自身を苦しめることになるということです。極端な話、全員がドーピングをすれば記録は伸びても競技の結果は変わりません。なので、長期的な視点で見た時に自分たちの立場を守らないといけないとういう意識を徹底させればドーピングはなくなるのかなと思います。選手たち自身も自分達を守りたいし、お金がかかっているのでみんな長く競技を続けたいと思っていると思うんですよ。そう考えれば損得計算で考えた時に、みんなで一斉にドーピングをやめた方が得なんですよっていう考え方を徹底的に周知させる運動を行っていくのは大切かなと思いますね。クリーンよりかはそういう風潮に認知していった方がドーピングはなくなると思います。あとはドーピングをすれば、筋肉だけでなく、ホルモンバランスも変わり内臓に負担がかかるので、現役生活が短くなるという論理で認知を広めるとかですかね。

5. ワールドマラソンメジャーズで総合優勝、総合的に魅せれる選手へ

-今後の選手としてのビジョンを教えてください

池上選手
今後の選手としてのビジョンは、ワールドマラソンメジャーズで総合優勝することを目指してやりたいなと思っています。なんでそういう目標を立てているんですか?って他の人からしたらあまり理解できないと思うんですけど、やっぱりマラソンの醍醐味って勝つことにあると思うんですよね。勝つことにあるけど、ある程度総合的に見て欲しいという想いと、総合的に魅せられないといけないっていう想いがあります。一発このレースで勝った選手と認知されるよりも、何レースも勝って、この何年間で最も優秀な選手と認知される方が嬉しいですよね。ワールドマラソンメジャーズの試合で勝った選手はタイムが遅くても強いと世界中から認知されるので、そういうところで勝負をしたいし、勝ちたいなと思っていますね。コーチが見ている選手も過去にそういう大会で優勝しています。自分もそれに続きたいと思っています!

-11月の大阪マラソンに向けて意気込みをお願いします。

池上選手
今回は、本当に大会編集委員長の方が私の勝負相手にふさわしい選手を招聘してくださって、アジア大会日本代表の松村康平選手や、過去にシカゴマラソンで上位に入っている選手も出場するので、良いメンバーが揃っており格好の場です。思い切って挑んで大会記録更新で優勝したいなと思っていますね。
今年の場合は大会記録を更新しただけでは優勝できないメンバーだと思うので、優勝にこだわりたいです!

-最後にこのコラムを見ている人達へメッセージをお願いします。

池上選手
私のサイトには栄養と心理と故障のマネジメント等たくさん自分が勉強してきたことや実践していく上でコストパフォーマンスの高い商品を、読者対象をかなり絞って発信しています。なので、癖が強いブログですが、本気でこういう分野を学びたい方は私のブログを是非読んでみてください!!(池上秀志オフィシャルサイト
そして、ドーピングは健康を害するもので、デメリットの方が絶対大きいのでやめた方が良いです。あと、うっかりドーピングは意外と多いので、本当に知識武装は大事で、しっかりとした知識を身につけた方がいいですよね。選手だけでなく、選手の関係者も選手を保護するためにドーピングに関する知識武装はした方が良いと思います。

プロフィール

池上秀志選手プロフィール画像

池上秀志(いけがみひでゆき)
池上秀志オフィシャルサイト

大学入学直後の関西インカレで10000m、ハーフマラソンで二冠するも、二回生時に陸上部を退部。個人で競技を続ける中で2014年にケニアで現在のコーチであるDieter Hogen氏に出会う。2014年の谷川真理ハーフマラソンでは世界選手権代表の川内優輝選手を下して優勝。自身二度目のマラソンとなった2017年の大阪マラソンでは2時間13分41秒で2位に入る。今年に入りNike Zoom Speed 3k raceで優勝し、来年のシカゴマラソンの出場権を獲得。また、日本語、英語、ドイツ語を話すトリリンガルでもある。

主な戦績
京都洛南高校 3年連続都大路出場
関西インカレ2部ハーフマラソン 優勝
関西インカレ2部10000m 優勝
近畿選手権 優勝
谷川真理ハーフマラソン 優勝
グアムインターナショナルハーフマラソン 優勝
上尾ハーフマラソン一般の部 優勝
大阪ロードレース 30km 優勝 1.31’53
大阪マラソン 2位 2.13’41
ハイテクハーフマラソン 優勝
ももクロマニアハーフマラソン2位
Nike Zoom Speed 3k race 優勝