コラム

インタビュー

選手インタビューNo.4/関野義秀選手

「 ドーピングを防ぐことは法律を守るのと同じぐらいの価値がある 」

日本記録保持者、アジア大会優勝等フィンスイミングで輝かしい成績を残し続け、2018年度日本代表のキャプテン兼指導者としても活躍し、フィンスイミング界の中心にいる関野義秀選手。「フィンスイミングだけで仕事が成り立つ仕組みを創りたい」と語る関野選手にフィンスイミングへの想い、フィンスイミングの魅力、そして、アンチ・ドーピングについてお話を伺いました。

1. 「フィンスイミングをしてみたら?」人生を変えた提案

—フィンスイミングとの出会いについて教えてください

関野選手
フィンスイミングの存在は幼少期から知っていました。当時は水泳をしており、チャレンジすることはなかったです。高校生になってからフィンスミングを始めました。水泳の競技レベルは、私は凡人で、大学受験の際に推薦の材料となるものがなかったのでスイミングのコーチから「フィンスイミングをしてみたら?」と提案されたのがフィンスイミングを本格的に始めたきっかけでしたね。今振り返ると本当にフィンスイミングと出会って良かったと感じています。

—フィンスイミングをはじめた時、水泳と比べて競技の難しさ等は感じましたか?

関野選手
水泳の練習でフィンを使うこともあり、フィンを使う練習が私はもともと得意でした。なので、難しさはあまり感じませんでしたね。競技を初めてから1ヶ月後に日本選手権に出場し、いきなり400mで日本記録を更新しました。さらに、運もありアジア選手権にも出場でき、100mで銀メダルを獲得しました。200mでは金メダルも獲得をしました。競技を始めて1ヶ月、3ヶ月でいきなり結果が出たので楽しくなりましたね。その結果、フィンスイミングに対する想いが強くなり今まで続けることになってしまいました(笑)

—それはまたすごいですね!競技に取り組む上で大切にしていることは何かありますか?

関野選手
大事にしていることはいくつかあるのですが、一番はフィンスミングが発展することを軸に私は行動していますね。仕事を選ぶ際もまず、フィンスイミングの発展に繋がるかをまず考えます。あとは、私は前職で培った「努力って楽しい」という気持ちを大事にしています。全て楽しいと思えればなんでもできると思っています。何からでも学べますし、楽しくなくても楽しいって思えたらメンタルが最強になりますね(笑)

2.フィンスイミングは可能性を秘めた競技

—フィンスイミングの魅力について教えてください。

関野選手
一番はスピード感ですね。見ていても面白いですし、泳いでいても普通に泳ぐのと感覚が全然違うので、爽快感はありますね。また、フィンスイミングは道具を使うことが水泳とは違う魅力かなと思います。また、水泳よりも技術的な要素が結果に左右されるので選手寿命が長いのもフィンスイミングの魅力の一つではないかと思います。

—関野さんは選手、指導者、マネジメントの立場でフィンスイミングと関わっていると思いますが、それぞれの立場の視点でフィンスイミングについて感じることはありますか?

関野選手
全ての立場の視点から言えることですが、フィンスイミングは可能性を秘めている競技というのは感じています。選手としては、強豪国と比較して環境は良くないものの競技レベルの差は詰まってきているのは感じているので、同じ環境が手に入ったらもっと競技のレベルは上がるなと感じています。競技環境に関しては経済的に変えられない現状はありますが… そして、指導者をする際も、「まだまだ伸び代があるのにこんなに早いタイムで泳げるんだ」と選手の可能性を感じることが多いです。選手の視点でも話しましたが、指導者の視点でも競技レベルの差は詰まってきているのは感じているので、もっとこれから世界で戦えるなと感じています。 マネジメントの視点で見た時は、今は炎の体育会TVの反響もあり、外から見たフィンスイミングの価値は上がってきているので、組織として選手をサポートできる仕組みが今まで以上に見えてきています。しかし、実現できていないのが現状なのでマネジメント視点でも今後の可能性は感じています。今後は、会社とコラボレーションしてフィンスイミングを普及していく機会を増やしていきたいと考えています。スポーツ以外の形でフィンスイミングが世の中に浸透して欲しいという想いがあります。

—関野さんが今後挑戦していきたいことを教えてください。

関野選手
選手として、まだ引退したいとは思っていないのでもっと上を目指してやっていきたいという気持ちはあります。ただ、正直どのタイミングで引退すべきなのかは考えないといけないなと思っています。 将来的にやりたいこととしては、フィンスイミングだけで仕事が成り立つようにしたいと考えているので、どういう仕組みを創れば成り立つのか今から考えていきたいと思っています。

3. スポーツファーマシストと第三者認証の必要性

—ドーピングを意識しだしたきっかけについて教えてください。

関野選手
ドーピングを意識しだしたきっかけは、初めて代表になった時のドーピング検査ですね。それまでにも、ドーピングに関する講習会はたくさん聞いたので、問題はないと思っていましたが、いざ検査されると不安になりますね(笑)

—ドーピング検査を受けた時の感想を聞かせてください。

関野選手
ドーピングの陽性事例が出てしまうと、自分だけでなく競技団体のイメージも悪くなります。お世話になっている競技団体に、迷惑をかけることになるので怖いイメージは持っていましたね。また、陰性だとしても通知は来ないのでいつまでソワソワしないといけないのかわからないのでどちらにしても不安でしたね(笑)

—関野さんが実践しているドーピング対策はありますか?

関野選手
サプリメントと薬を使用する際は気をつけています。薬に関しては基本的には飲まないようにしています。どうしても必要な際は知り合いのスポーツファーマシストの方に相談していますね。サプリメントに関しては、スポンサーから提供されるサプリメントしか使用していないです。第三者認証を取得しているサプリメントなので安心して使用することができています。

—知り合いにスポーツファーマシストの方がいるとのことですが、スポーツファーマシストは多くの選手に知られている存在なのでしょうか?

関野選手
私は、知り合いにたまたまスポーツファーマシストの方がいたので身近な存在ではありますが、その方から話を聞いたり、周りを見たりすると正直アスリートにもスポーツをしている一般層の選手にも全然浸透していないと思います。でも、スポーツファーマシストはとても必要な存在です。

—スポーツファーマシストの存在はまだまだ選手にも認知されていないのですね…

関野選手
私の知っている選手で、自分が選手であることを伝えたにも関わらず、試合前に医師から処方してもらった薬が、調べたらドーピングに引っかかる薬だったという事例がありました。医師もドーピングに関しては専門家ではないため、その話を聞いた際にドーピングの専門家の必要性を感じました。 選手は専門家と関わりを持てばドーピング対策の必要性を感じるからこそ、スポーツファーマシストの方も選手の近くに専門家がいるという情報を届けていくべきです。選手も身近に専門家がいることで安心感があるので、ストレスの軽減にも繋がると思います。

—スポーツファーマシストに求めることはありますか?

関野選手
スポーツファーマシストに求めることとしては、薬の成分は素人には分からないので、製品と成分が一致するようなリストがあればいいなと思います。薬はいろんな種類があるので… あと、アップデートをどうしていけばいいのか分からないですね。禁止薬物一覧を見ても全く分からないし、対策の仕方等がもっと明確に分かる情報があったら良いなと思っています。

—サプリメントは第三者認証を取得しているものを使用しているとのことでしたが、第三者認証の存在は知っていましたか?

関野選手
アトラクさんのドーピング・ガードの存在で初めて知りました。JADA以外にもそういうのがあるんだ!すげ〜ってなったのを覚えています(笑)

—選手にとって第三者認証のマークは必要ですか?

関野選手
選手としては、マークはあった方がもちろん信頼できるし必要です。しかし、メーカーはビジネスとしてコストがかかる点もあると思います。なので、私は、第三者認証マークはアスリートのためのものだけでなく、クリーンな製品のPRにも使用できるので一般の人に向けた製品でも必要だと感じています。第三者認証が世の中に浸透すれば、認証マークも広まるし、製品も広まるし双方にとっていいことしかないと思っています。あと、第三者認証の連合みたいなのができたらいいなと思っています。認証マークがあることは選手にとって本当に大事で、マークがあると安心します。

—コラムを見ている人へメッセージをお願いします。

関野選手
ドーピングは、選手にとって遠そうな一方で、実はとても身近な分野なので、選手はドーピングについて考えないといけないです。選手は、ドーピングの対策など細かい部分まですごく気を使って競技と本気で向き合っていることを知っていただきたいです。あと、スポーツファーマシストの存在は本当に重要なので広まってほしいですね。ドーピングを防ぐことは法律を守るのと同じくらいの価値があると思っています。ドーピングは知らなかったじゃすまないし、ドーピングに引っかかったら罪を償うように処分も下されますし、人生において大きい出来事になるので… ドーピングは本当に専門分野だから、スポーツファーマシストが選手からドーピングを守ることの価値は本当にあると思います。

【プロフィール】

関野義秀(せきのよしひで)
(学歴)神奈川県立秦野高校⇒ 東京 YMCA 社会体育・保育専門学校⇒ 国立大学法人鹿屋体育大学⇒ 国立大学法人鹿屋体育大学大学院 体育学研究科 修士課程修了
(職歴)株式会社ソフトバンクモバイル(代理店営業)⇒ KITAJIMAQUATICS(スイミングコーチ) ⇒ 東京 YMCA 社会体育・保育専門学校(常勤講師)+フリーランス

日本代表キャプテンとして中距離界を牽引.400m・800m サーフィスおよび 4×200m リレー、短水路 800m サーフィスの日本記録保持者。
競技だけでなく、国内競技力向上とフィンの魅力を伝えるため、後進育成や全国での普及活動にも尽力している。後進育成としては,多くの日本代表選手および日本記録保持者を輩出。TBSの人気番組「炎の体育会 TV」を通してコーチを務めたオードリー春日・じゅんいちダビッドソンのマスターズ日本代表入り・世界の舞台での銀メダル獲得に貢献。また、自身が立ち上げたフィンスイミングチームAQUAFinDのチームメンバーを2 年連続で世界選手権代表に輩出し、ジュニア、大学生、マスターズすべての区分の代表選手も輩出している。その功もあり、2017年よりジュニア日本代表監督を務める。
普段は東京YMCA社会体育・保育専門学校にて体育科の常勤講師として勤務をしており、人間力の向上につながる教育をテーマにスポーツ業界の次期担い手の育成・教育を行う。

【主な戦績】
2007年9月 第10回フィンスイミングアジア選手権 200m ビーフィン優勝*当時アジア新記録
2014-2015年フィンスイミング日本選手権 2年連続大会MVP獲得
2015年11月 第15回フィンスイミングアジア選手権 800mサーフィス4位
2016年5月 第28回フィンスイミング日本選手権 400m/800mサーフィス 優勝
2016年6月 第19回フィンスイミング世界選手権 4×200m リレー 9位
2017年12月 第16回フィンスイミングアジア選手権 200mサーフィス6位
2018年7月 第20回フィンスイミング世界選手権 4×200m リレー 8位入賞*日本初